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どうも!自称「世捨て人」のカナモです!
アウトドア熱が高まっている昨今ですが、そういう時に必ず出てくるのが「有名ブランドでガッチリ固める」系の人です。
確かにスノーピーク、ノースフェイス、パタゴニアなど、オシャレ&カッコいいウェアが多いので、統一したい気持ちは分かります。
しかし、今一度考えて欲しいんです。
「有名ブランドだったら間違いないのか?」
「オシャレならそれでいいのか?」
という事を。
日本は登山人口が多い
日本の登山人口は800万人以上と言われています。(一時期は1000万人とも言われてましたが、震災や火山の影響で減ったようです。)
日本の人口が約1億2700万人なので、16人に1人は山に登っていることになります。
あまりピンとこないかもしれませんが、この数字は凄いですよ。
例えば最近増えてきているサッカー人口は、640万人です。
20人に1人ですね。
昔から国民的なスポーツと言われている野球ですら、登山と同じく800万人程です。
それだけ山に登る人は多いわけです。
死亡者数も多い
しかし野球やサッカーと違い、登山は年間の死亡者数がケタ違いに多いです。
毎年のように、山で遭難してそのまま見つからないか、遺体で発見されたというニュースが流れてますよね。
群馬県の「谷川岳」は累計死亡者数が約800人で、世界の8,000m峰14座を合わせた人数(約640人)よりも多いです。
世界一死亡者数の多い山として、ギネスブックに認定されているほどですからね。
山で死亡する原因は色々ありますが、多いのは
- 低体温症
- 遭難
- 滑落(クライミング含む)
あたりです。
特に低体温症は、着ていくウェアによっては死ななかったかもしれません。
つまりそれだけ登山では服装に対する重要度が高いということです。
しかし山の服を普段のファッション感覚で選んでいる人のなんと多いことか。
特に若い世代に多いです。
そのウェア、ちゃんと素材や機能まで見て買ってますか?
デザインだけで選んでませんか?
「そんなわけあるか!ちゃんと見てるわ!」という人は、これより先を読む必要はありません。
その選び方を続けて下さい。
全力で否定できない人は、ここから先に書いてあることを是非読んでみてください。
素材で選ぶ
基本的に、衣類は繊維で出来ています。
そして使う繊維によって特性が全く違ってきます。
なので大前提として、登山向きの素材(繊維)がどういった物なのかを知る必要があります。
登山ウェア向きの素材
繊維には
- 天然繊維(綿、麻など)
- 化学繊維(ナイロン、ポリエステルなど)
の2種類に大別出来ますが、一般的に登山向きとされているのは化学繊維(化繊)です。
勿論、天然繊維でもウールは吸湿性に優れるので昔から登山ウェアによく使われてたりするので、一概に「絶対化学繊維!」というわけではありません。
また、化学繊維にも色んな種類があります。
水を含みにくいポリエステル、高強度なナイロン、柔らかいポリウレタンなど、種類によって特性がかなり変わってきます。
更に、複数の素材が使われているウェアも多く、お互いの欠点を補ったり長所を伸ばしているような物も沢山あります。
なので一概に言うのは実際難しいんですが、少なくとも登山において「綿より化繊」というのは間違いないです。
登山ウェアに向いていない素材
では逆に、登山に向いていない素材は何なのかということですが、ピンポイントで言うならば「綿」です。
綿の特性は
- 肌触りが良い
- 吸水性が良い
- 火に強い
- 濡れると強度が増す
という感じです。
ここで問題なのは「吸水性」です。
水を吸うということは、繊維が保水するということです。
つまり綿の衣類は濡れると乾きにくいということに繋がります。
衣類が濡れていると、気化熱によって体温が急激に奪われます。
真夏でも濡れた服着てると風邪ひくのに、それが冬だったら最悪凍死です。
なので綿の衣類は登山に向いてません。
勿論、綿と他の繊維を混ぜることによって登山でも使えるウェアを提供しているメーカーもあるので、綿100%は避けるべきという認識で良いでしょう。
機能で選ぶ
登山ウェアは、ただ着られたらいいというわけにはいきません。
登山では「レイヤリング(重ね着)」というものが基本になります。
3〜4枚のウェアを重ね着することによって、気候や気温、運動量に合わせて細かく調整することが出来るからです。
半袖Tシャツの上に分厚いダウンジャケットとかだと、両極端すぎますよね。
当然ながら、それぞれのウェアに求められる機能も違います。
ベースレイヤー | 吸水性、速乾性 |
ミドルレイヤー | 通気性、速乾性 |
ソフトシェル | 保温性、防風性、通気性 |
ハードシェル(レインウェア) | 防水性、透湿性 |
ザックリいくと、各レイヤーの役割はこんな感じです。
3レイヤー、5レイヤーという考え方もあるので、あくまでもこれは僕の持論ですが、いろんな山を登ってきた結論なので、間違いではないと自負しています。
いないとは思いますが、いきなり地肌の上にフリースやレインウェアを着たり、逆にフリースの上にベースレイヤーを着たりすると、それぞれの役割が果たせなくなります。
重要なのはそれぞれの役割を理解し、最適な着合わせを考えることです。
まとめ ウェア選びは慎重に
有名ブランドで固めることが悪だとは言いません。
サイズ感や機能性などを統一できるんで、場合によっては最適な選択肢になり得ます。
でも問題はその「場合」なんですよ。
何も考えずに同一ブランドで一式揃えるのは良いですが、登る山や時期、標高や天気、体調やペースなど、あらゆる要素から最適な服装は変わってきます。
雨の中の長時間山行ならベンチレーション付きのレインウェアにするべきだし、風の強い独立峰に登るなら通気性より防風性の高いアウターが必要です。
一言でいうと、ブランドやデザインにこだわらず、それぞれのいいとこ取りでウェアを揃えましょう、って事です。
勿論ダッサい服装よりは、カッコいい服装の方がテンション上がるし、より登山を好きになれます。
でもブランドやデザインだけで選んでしまうと、いざという時に取り返しのつかないことになるかもしれません。
それが登山というものです。
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