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どうも!自称「世捨てびと」のカナモです!
連日の自然災害で、皆さん心身共に疲れ切っていることでしょう。
また、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
最近の自然災害は以前にも増して強力になっているような気がしてるのは、僕だけじゃないはずです。
同時に、人々の防災意識も少しずつ高まっているようにも思います。
今回は災害発生後の7日間を生き延びるために必要な知識、スキル、アイテムを、サバイバルを生業とする僕の視点から紹介したいと思います。
かなり長くなりますが、命を守るための時間だと思って最後までお付き合いください。
もくじ
3の法則
災害時などの非常事態では、確保しなければならないものの優先度が決まっています。
これをサバイバルでは「3の法則」と言います。
3分
何よりも優先しなければならないのは「呼吸」です。
一部の特殊な人を除き、人間は息を止められる限界が3分と言われています。
まずは何よりもこれを優先しなければいけません。
3分と聞くと「うちは川も海も遠いし関係ないわ」と思う人もいるかもしれませんが、水中だけの話ではありません。
火災で煙が充満した部屋でも同じことが言えます。
一酸化炭素濃度にもよりますが、場合によっては3分で死に至ることもあります。子供なら1分です。
一般的に言われているのは「濡らしたタオルや衣類で口と鼻を覆う」というものですが、これはあまり効果が見込めません。
濡らすことによって極端に呼吸がしづらくなるし、水道などで布を濡らしてる間に多量の一酸化炭素を吸い込む可能性があるからです。
なので、とにかく素早く布で口と鼻を覆い、浅い呼吸を意識しながら、ほふく前進で一刻も早くその場を離れるべきです。
3時間
これは体温を保持するリミットです。
人間は深部体温が2〜3℃下がる(35℃以下)と低体温症を起こし、シバリング(体の震え)が起きます。
31℃以下になるとシバリングも止まり、急激に体温が下がっていき、最終的には死に至ります。
真夏のトムラウシ山(北海道)での事故は、登山者なら誰でも知っていると思います。
水に濡れた身体で強風の中を何時間も歩いた結果、トムラウシ登山ツアー参加者18人の内、ガイド含む8名が低体温症で亡くなりました。
当時の気温は8〜10℃で、風速は20m/sほどだったそうです。
つまり冬以外でも低体温症になって命を落とす可能性があるってことです。
ましてや災害時には体温を確保することが難しくなるので、呼吸の確保が問題なければ、次は早急に体温を保持できる環境を作らなれけばなりません。
最も簡単な方法としては、濡れた衣類を脱いでサバイバルブランケット(薄い銀色のシート)に身を包むというものです。
重要なのは「濡れた衣類を脱ぐ」ということです。
濡れた衣類に身を包んでいると、気化熱によって急激に体温が奪われていきます。
裸の方が何倍もマシです。
当然ながら、風も侮れません。
風速1m/s毎に、体感温度が1℃下がると言われています。
これには計算式があるんですが、気温10℃、湿度60%、風速10m/sの場合、体感温度は-2.7℃にもなります。
雨の日(湿度約85%)だと、-4℃です。
そこに濡れた服で立っていると、体感温度は更に低くなるはずです。
3日
体温の次は、水の確保が必要です。
水なしで生きられる限界が3日と言われています。
幸いなことに、川や湖の多い日本では水の確保に困ることは少ないです。
ただしその水が飲めるかどうかは別問題。
そんな時には携帯型浄水器が必要になります。
僕がずっとおすすめし続けているのは「ソーヤーミニ」という携帯型浄水器です。
手のひらサイズで、0.1ミクロンのマイクロファイバーが大腸菌まで濾過してくれます。
そして浄水能力はなんと38万Lもあります。
ほぼ一生モノと考えて良いかなと。
被災時に何十Lも水を持ち出すことはかなり難しいんで、数Lの水とソーヤーミニを持っていく方が現実的です。
3週間
水さえあれば、食べ物は3週間無くても生きていけます。
ただし2週間目くらいからは地獄の苦しみだと思います。
なので、3週間はあくまでも生存限界で、できれば4〜5日以内に食糧を手に入れたいところです。
被災時のガイドラインには「7日間生き延びられるための備えを!」と書かれていますが、これに則した場合、最悪食糧はなくても大丈夫ということになります。
僕は絶対嫌ですけどね。
一般的にはアルファ米などのドライフードが非常食としておすすめされています。
長期間保存出来るし、重量も軽いです。
僕もこれがベストだとは思いますが、ある条件を満たせるなら「ミリメシ」がおすすめです。
ミリメシとは「ミリタリー+飯」の造語のことで、つまり自衛隊や軍隊などが食べている戦闘糧食のことです。
その中でも米軍兵士が食べているMRE(Meal Ready to Eat)が僕のおすすめです。
水無しでも食べられるし、いろんなメニューがあってしかもかなり美味しいんですよ。
被災時に美味しい食べ物があるだけで、気分がかなり違ってきます。
この気分というのは侮れないもので、被災状態が長期化すると、生きる気力すら失ってしまいます。
それを改善する最も効果的な方法が「美味しい食事」です。
ただしMREには難点が。
基本的には米軍の払い下げ品なので、消費期限の近いものが多いんですよね。
なのでこれはあくまでも「良い状態のMREが手に入れば」という前提です。
そしてMREには明確な消費期限がなく、「◯年◯月検品」という表示のみです。
なのであくまでもコレクション品として売られています。
まぁ僕は何食が食べましたが、全く問題なかったんで、被災時にも絶対持って行きます。
あくまでも自己責任ですが。
因みに、自衛隊の「戦闘糧食」というミリメシを作ってるメーカーが、一般向けに販売しているものもあるので、安全性ではこちらの方が上ですね。
以上が「3の法則」です。
災害時に必要なアイテム
上の話を踏まえて、災害時に必要なアイテムを一覧で紹介したいと思います。
マルチツール
衣類を切って怪我の治療をしたり、簡単な工作をしたり、マルチツールがひとつあればかなり被災時の対応が違ってきます。
大きなものじゃなくても良いんで、1つは防災袋に入れておくことをおすすめします。
ファーストエイドキット
被災時に怪我はつきものです。
放置しておくと酷くなって、最悪の場合死に至る可能性も。
なのでその場で応急処置をする必要があるんですが、ファーストエイドキットがあればとりあえずは安心です。
サバイバルブランケット
上で説明した通りです。
必ず1人1枚以上備えてください。
100均でも売ってます。
携帯型浄水器
これも説明した通りです。
携帯型浄水器にも色々ありますが、女性や子供でも扱えて浄水量も多いソーヤーミニがおすすめです。
スーパーデリオスという小型の浄水器もありますが、あれはかなり力が要ります。
ヘッドライトと電池
自然災害は昼間に起こるとは限りません。
夜中に地震が起きて停電してしまうと、明かりがないと移動が困難になります。
懐中電灯ではなくヘッドライトがおすすめなのは、両手が空くからです。
買い物袋を被せればランタンの代わりにもなるし、ヘッドライトは1人ひとつ用意した方が絶対に良いです。
予備の電池も忘れずに。
モバイルバッテリー
被災時に重要なのは、物だけではありません。
情報も非常に重要です。
大抵の情報はスマホで入手できますが、電池切れになるのを防ぐため、モバイルバッテリー(10,000mA程度のもの)を用意した方が良いでしょう。
ソーラーチャージャー
避難所生活が長期化すると、モバイルバッテリーだけでは足りなくなります。
そんな時に活躍するのがソーラーチャージャーです。
これがあればスマホの電池切れの心配はほぼなくなります。
最近ではロール型のものも出てきているので、非常時に持ち出しやすくなってます。
周辺の地図とコンパス
地震で街がガレキの山になると、方向感覚が狂う事もあります。
避難場所まで最短距離でたどり着くためにも、自宅周辺の地図とコンパスはあった方が良いでしょう。
スマホの地図とGPSでも代用できますが、電波の無い状況でも使える地図アプリじゃないと意味がないので、注意が必要です。
携帯トイレとトイレットペーパー
被災時に困る事の代表が「トイレ問題」です。
その辺でブリブリ捻出するわけにもいかないので、携帯型のトイレとトイレットペーパーは持つべきです。
僕はスコップも持って行きますね。
穴掘ってウンコできるし。
携帯型ラジオ
携帯電話の電波すら届かない状況で、唯一の情報源になるのがラジオです。
小型のもので良いんで、AM電波の拾えるラジオを持っておくと安心です。
FMは別に聴こえなくても良いと思います。
ガムテープと油性ペン
被災して家族と離れ離れになってしまうと、お互いにメッセージを残せるようにしなければなりません。
目立つ場所にガムテープを貼り、その上に油性ペンでメッセージを書いておくのが1番確実な方法です。
紙のガムテープじゃなくて、できれば赤など目立つ色の布ガムテープが理想です。
当然ながら、ガムテープは他にも色々使えます。
ダンボールで寝床や目隠しを作ったり、破れた衣類を補修したり、出血を止めたり、骨折した時に添え木を固定したり、靴の代わりにしたり、屋根にSOSを書いたり。
バックパック
防災袋でも良いんですが、地震で道路が寸断されたり、周囲がガレキの山になった時は、両手が空いているのが理想です。
そのためには、必要な道具をバックパックに背負った方が安全です。
極端な話、キャリーケースで被災地を移動するのはしんどくないですか?
笛
もしガレキの下に埋もれて身動きが取れなくなったとします。
大声を出しても外には届きません。
そんな時に命を繋ぐのが「笛」です。
ただピーピー吹くだけでも効果はありますが、笛でSOSを送ると、より効果的です。 吹き方は簡単で、「・・・ ーーー ・・・」と吹くだけです。
「ピピピッ ピーピーピー ピピピッ」って感じですね。
これはモールス信号のSOSサインで、全世界共通です。
笛がない場合、金属の棒などを叩いて同じようにしても良いです。
登山用のバックパックなら、チェストハーネスのバックルが笛になっているものもあります。
MRE
上で説明した通り、僕は間違いなく持っていきます。
やっぱり被災時でも美味しい食事は重要です。
固形物だけで十分というミニマリストには、「THE 救難食糧」というブロックみたいなビスケットがおすすめです。
こっちは非常食として販売されてるんで、恐らく消費期限は大丈夫です。
マヨネーズ
冗談に聞こえるかもしれませんが、本気です。
水無しでも飲めるし、高カロリーで栄養価も高いです。
実際に雪山で遭難した人が、たまたまお土産として持っていたわさびマヨネーズで、20日間生き延びたという事例もあります。
小さいチューブを1つ入れておくと、安心感が違います。
耳栓
被災時には、体育館などの広い場所が避難所になることが多いです。
そこに沢山の人が避難生活を余儀なくされるんですが、やはり夜は他人のいびきや子供の夜泣きが気になります。
そんな時に活躍するのが耳栓です。
外部の音をシャットアウトしてくれるんで、かなり寝やすくなります。
災害時の睡眠は、体力と気力の回復手段としてとても大事なものです。
雨具
100均で売ってるようなものでいいんで、雨具は必ず用意してください。
低体温症のくだりで体温保持の重要性はわかってもらえたかと思います。
体を濡らさないことが、何よりも体力と体温の温存に繋がります。
寒い時は防寒着としても使えます。
地面に穴を掘って雨具をかぶせ、雨水をためて浄水器にかければ、飲み水の確保もできます。
軍手
避難所までの道のりが安全とは限りません。
ガレキの山を避けながら進まなければならないこともあるでしょう。
そんな時に1番怪我しやすいのが手です。
軍手があれば、手や指先の怪我のリスクがかなり軽減されるので、1人1双は常備しておくことをおすすめします。
避難所で気をつけること
家を脱出して、無事避難所までたどり着いたとします。
しかし避難所は手放しで安心できる場所ではありません。
沢山の人がいると、中にはヤバい奴も混じってたりします。
盗難被害
避難所ではプライバシーの確保が難しく、自分の荷物も多くの人の目に触れます。
そんな時に良からぬ考えを持っている奴が、他人の物を盗んだりするわけです。
100人集まれば、1人くらいはそんなクズが出てきます。
盗難被害に遭わないためには、荷物は広げず常に手元に置いて、就寝時は抱きかかえて寝るか、枕にしましょう。
そうするだけで、あなたの荷物は盗めないと思われます。
痴漢・強姦被害
被災して心身共に弱っているのを良いことに、若い女性を狙う痴漢や強姦魔が湧いて出ます。
窃盗もそうですが、こいつら人間のクズです。むしろ人にあらずです。
実際に東日本大震災や熊本地震の時にも、痴漢・強姦被害に遭った人が何人もいたそうです。
「車に食料があるよ」と声をかけて女性をおびき出し、車内に連れ込んで強姦したという卑劣な手口です。
痴漢・強姦を防ぐために、独りになる時間を作らないようにしてください。
単身で避難してきた女性は、他の女性グループに混ぜてもらうのもひとつの手です。
本当なら「持ってるマルチツールでそいつの股間を引き裂いてやれ!」と言いたいとこですが、逆にあなたが捕まってしまうので、未然に防ぐようにしましょう。
ストレス
これも深刻な問題です。
避難所生活を一言で表すなら「満員のエレベーター」です。
すし詰め状態で何日も過ごしていると、精神的に参ってしまうことも珍しくありません。
かと言って他に安全な場所も無いし、みんな我慢しながら生活しています。
なので、ささいな事で被災者同士が大喧嘩ということも。
それを防ぐためには、ストレスの発散方法を確保する必要があります。
ボランティアの相談員と話をするのも良いし、トランプを持参して遊んでも良いです。
とにかく少しでもストレスを和らげる手段を準備してください。
僕ならテント持って避難所から少し離れた場所でひっそりと暮らすかも。
なんせ自称世捨てびとですから。
まとめ
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
要約すると
- 3の法則を常に意識する
- 備えは適切に
- 避難所は安全な場所とは限らない
- ストレスを溜めない
これが何よりも重要です。
最後になりますが、「パニックは人を殺す」というのを、僕はこのブログで言い続けています。
世界的に見ても、日本は自然災害の発生件数が異常に多い国のひとつです。
「もしかしたら今日大災害が起きるかもしれない」
という警戒心を、常日頃から心のどこかに置いて生活することをおすすめします。
備えあれば憂い無しというのは、なにも道具に限った話ではありません。
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